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新・幸福論

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五木寛之さんの本を勧めてくださる方が非常に多いんですが、五木さんの本って説教臭いことが多く、実は僕はあまり好きじゃありません。でも、本屋さんをぶらりとして気になったのがこの一冊、「新・幸福論」。今の時代の幸せとは?というテーマで五木さんが徒然に語ってくださってる本です。ただ、「今の時代の幸せはこういうもんだ!」と正面切って論じているのではなく、新しい幸福感が生まれてきている時代における五木さんなりの新しい幸福感に対する考え方を延べてる感じかな。内容に関しては、やはり説教臭い調子で進むわけですが(苦笑)、五木さんなりのまとめには100%合意。結局のところ、複雑な社会の中では画一的な幸福感なんてなく、社会の変化が大きい中では長期にわたる幸福感なんてないわけで、だからこそ日常な小さな幸せや自分にとって気持ちがいいことを大切にすることが幸福に繋がるのではないかというまとめ。さもありなん。日常の小さな幸せの積み重ねの先に幸福があるんだよね。人生、幸せなことばかりではなく、不幸なことも多々あるので、だからこそ小さな幸せをたくさん感じることが人生の幸せにとって大切なのです。って、僕も説教臭い?

さて、そんな五木さんの「新・幸福論」の中で長寿は幸せなのか?と死生観についても延べられておりました。この章、僕が普段から考えている「長生きすることは必ずしも幸せってことではない。」ってことに非常に近いので、引用せずに自分の言葉で説明してみようと思います。

幸か不幸か医学の進歩により飛躍的に伸びた平均寿命。また一方、医療によって生かされる人々が生まれ、健康余命なんて言葉が結果的に生まれたりして。でも、基本的に長生きは良いことなんです、間違いなく。ただ、前提として老人の面倒を見る、見られる余裕がある場合は。以前のように子どもがたくさん生まれ、多くの孫達に囲まれて過ごすような、誰かしらが無理なく家にいられる状態であれば長寿であるにこしたことはないでしょう。しかし、今はご存知の通りの少子化、子どもが親の面倒を見る、孫が祖父母の面倒を見るのが困難な時代に、私たちの親の世代は「子どもに世話をかけたくない」「まわりに気を使いながら気兼ねしながら生きるくらいなら一人で暮らした方が良い」と言います。僕自身も同じ発想。だけど、いつまでも健康でいられるはずもなく、いつかは誰しも誰かのお世話にならなければなりません。

まぁ、人間誰しも持ちつ持たれつだから誰かに依存しないと生きていけないわけで、それが家族だったり社会だったりしますが、家族がサポートできない時のバックアップが社会です。介護保険なんかは、まさにその類いのサポートでしょう。しかし、これから先、お年寄りにかけられるお金は限られてきますよね。もっとも、そこにお金をかけろ!という意見がありますが、個人的にはお年寄りより若者にお金をかける方が良いじゃないの?と思っているし、お年寄りにお金をかけろ!という意見が多数派だったとしても実際にかけられる金額は無限ではないのです。つまり、全ての人が必ずしも幸せな老後を過ごせるわけじゃないのが現実。そんな余裕がない老後を長い間続けなければならない状態を五木さんは「長寿地獄」と呼んでます。だから、こういう時代だからこそ「長寿は幸せ」みたいなステレオタイプの幸福感ではなく、自分の意志で周囲に迷惑をかけない人生の幕引きのタイミングを考えられるようにすべきじゃないかと思うわけです。五木さんは「尊厳死」という言葉を具体的に使って表現していますが、受けたい治療を明確に示し、自分が望む最後の引き際を自分の意志で決められるようにすべきじゃないかと。それもまた一つの幸福なのではないでしょうか。

ちょっと乱暴な意見なのかなと自分でも思いますが、五木さんの言葉を最後にお借りしますと「長生きをすれば幸せだとか、そういう常識が通用しなくなった時代に、私たちは直面しているような気がします。」とのこと。飛躍的に平均寿命が伸びたのは戦後から。長寿が幸せという時代は案外短くわずか50年、60年ほどの話にしかすぎないので、新しい時代に応じた考えの変化が必要なのかもしれません。

五木寛之さんの「新・幸福論」。あなたもチェックしてみてはいかがですか?

神様(川上弘美)

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「くまにさそわれて散歩に出る。」

この書き出しにひかれて川上弘美さんの「神様」を手に取ってみた。

昨年末、後輩の結婚式に出席した時の気の利いたイベントがきっかけ。出欠の連絡ハガキに「自分の好きな一冊を紹介してください」とあり、なんでだろうなぁと不思議に思っていたところ、本の書き出しとともにカバーが隠された本がたくさん置いてあった。なるほど、そういうことだったのか。結局、手に取ったのはこの本ではなかったのだが、この書き出しも気になったので入手して読んでみることに。

この本、川上弘美さんのデビュー作品で、約10年前の作品。ファンタジーのような話が短編で綴られている本で、不思議な話が自然に綴られており、いろんな登場人物の優しさが上手にちりばめられていて心がホッとする一冊でした。すっとぼけている僕は、短編がそれぞれ関係しているってことに気がつかずに読みすすめていたんだけど、途中でもしや?と思って読み返すと、なるほど一本の筋が通ってる。ファンタジーというとSFのような作品を想像しがちだけど、この本は自分たちの周りにある普通の日常に不思議なエピソードが無理なく織り込まれてあってファンタジーなのに非日常感がないのがいい感じ。

ちなみに、この本の中で好きだったのは「花野」と「春立つ」かな。どちらも切なくなるようなストーリーの中に、じんわりとほっこりとした暖かみがあって、最後に「良かった...。」って思えたから。詳しくは本を読んでみてくださいな。

こういう縁でもないと手に取ることのない一冊だったと思うけど、こういう本を偶発的に知るのは良いよね。この本を紹介してくれた新郎新婦に感謝です。

スポーツ系雑誌のNumberを読む。7月7日に発売された781号、様々なスポーツ選手のメンタル面についてフォーカスをあてた特集でした。そんな中でぱっと目についたのはサッカー日本代表の長谷部誠の記事。実は長谷部が書いた本「心を整える」を読んでみたいなぁと思って図書館に予約を入れたところ、なんと200人待ち以上。いったいいつになったらこの本を読めるのでしょう(苦笑)それはさておき、長谷部のそういったメンタル面と取り上げた「僕が逆境の中で心がけた10のこと」が目についたのです。内容の詳細は記事を読んでもらうとして、長谷部があげた10個のことを列挙。

(1) 過去の発言にとらわれない
(2) 落ちていく自分に好奇心を抱いてみる
(3) 決戦前に、頭の疲れをきちんと取る
(4) 気持ちがはやったときこそ、日頃の習慣を大事にする
(5) ちょっとした選択をストレスにしない仕組みを作る
(6) サプライズを当たり前だと思えば、心に余裕ができる
(7) リスクを率先して引き受ければ、プレッシャーと向き合える
(8) 不測の事態は、即興のイメージトレーニングで対応する
(9) 今起きていることをずっと忘れない
(10) 心を整え、壁を乗り越え、またそれを繰り返す

記事を読み終えて、思わず「なるほどね」って思ってしまいました。ま、インタビュー記事なので、無理矢理数あわせした感があるところもありますが、自分のメンタル面の弱さを克服できるかも知れないヒントがいくつかちりばめられていました。

その他、数多くのスポーツ選手(なぜか羽生名人も含む)のメンタル面に触れた面白い特集でしたよ。皆さんも機会があれば手に取ってみてください。

21冊目:マグマ

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マグマSFCで僕がお世話になっている夏野先生がtwitterで紹介していた本。ハゲタカやバイアウトで有名な真山仁さんが書いた小説「マグマ」を読みました。折しも、首都圏では福島第一原子力発電所の事故をきっかけとした電力不足が大問題になっており、原発を止めようという流れから電力不足が日本全体の大きな問題となってきてますが、きっかけこそ違えど原発に代わるエネルギー源を地熱発電に求めるというお話。小説の中では事故ではなく外圧が原因として描かれております。

大まかなあらすじとしては、ビジネス小説を得意とする真山さんらしく、外資系ファンドによる企業再生の話が中心なのですが、それだけでなく地熱発電に情熱を傾けるエンジニア、原子力発電を推し進める政治家の祖父を持つ地熱発電会社社長、休暇から帰ってきたらデスクが無くなっていたファンドマネージャーらが繰り広げる人間模様が実に微妙に、そしてリアルに描かれています。また、地熱発電の技術的な裏付け、日本で地熱発電が実用化されない政治的な理由がキッチリと書かれており、真山さんが創り出した世界に引き込まれてしまいます。例えば印象に残った部分を引用すると...

電力は需要に対して、常に余裕で供給できるだけの発電量がいる。 だが同時に安全に発電所を稼働させるのには、定期検査が絶対必要だ。 しかも可能な限り時間をかけるべきだ。 原発なら、100日ぐらい稼働を停止して検査するべきなんだ。 それに不測の事態や災害などで一部の発電所が動かなくなっても対処できるバックアップもいる。 それを考えると、需要ぎりぎりの発電量では話にならない。 すると現状では、原発を止めることはナンセンスかも知れない。

おお。今まさに起こっている原発推進派や反対派の狭間での議論を聞いているかのようです。夏野先生は「これからは地熱発電だ!」とおっしゃってますが、本当にそう思ってしまいそうになるリアルさです。

ま、あまり書くとネタバレしちゃうのでこのぐらいにしておきますが、最後に地熱学会が真山さんを学会にご招待し対談しているページをご紹介しておきます。こうやって地熱学会から声をかけてもらえるぐらいリアルに地熱発電技術を記述してるってことですよね。その中で、映画化の話が出てきます。この対談が行われた時は電力会社に遠慮してスポンサーがつかないから無理でしょうという流れだったのですが、今、この瞬間だったら映画化できるんじゃないかな?うん。

振り返ってみれば瀬名秀明さんのパラサイトイブも好きだったんだよなぁ。科学技術がそれなりに裏付けられ、キッチリと描かれた小説が自分は好きなのかも。

ご先祖様はどちら様
19冊目に引き続き、作家の高野秀行さんが推薦する本、それが「ご先祖様はどちら様」。歴史に興味をもつ頃、誰しも自分のルーツがどこにあるのか知りたくなるもの。僕もそういうタイプだったようで、祖父母に「うちに家系図はないのか?」と質問したりしてました。残念ながら我が家がお世話になっているお寺が火事で焼けたため、家系図も過去帳も焼失してしまったと聞いてガックリしたのを遠い昔の話ですが覚えています。それでも、その時分、自分の名前を用紙の一番下に書き、そして両親の名前を上に書き、そしてその両親の名前を書き(つまり祖父母)、そしてさらにその両親、つまりうちの親の祖父母の名前を書き、さらに自分の祖父母の祖父母は、祖父母の祖父母なので名前ぐらいは覚えているだろうと頑張ってたどって家系図を作ったりして。いや、ルーツがわかる訳じゃないんですが、そんなことをしていた頃が懐かしい。

本書は、作家の高橋秀実さんのそんな非常にパーソナルな先祖捜しを面白おかしく紀行記としてまとめたものです。

話は高橋さんが親族の結婚式でおまえは縄文人だと言われたところから始まるのですが、縄文人まで遡るとして、もっとも終わりの縄文人だったとしても3000年ぐらい遡らないといけない。一世代が30年だったとして100世代前まで遡ることになる。そんな全ての日本人が伊弉諾尊につながっているような壮大な話から本は始まる。縄文遺跡で佇んだりする高橋さんの紀行を読みつつ、宮崎の天岩戸神社に行って天照大神の伝説を聞いたことをことを思い出したりして。古事記や日本書紀をちゃんと勉強しておけば良かったなぁと思ったり。

そんな遠大な話だけでなく、高橋さんも僕の家系図作りと同じように身近なところからアプローチして、両親からの情報、戸籍からの情報、お寺に残されている過去帳からの情報と次々にたどっていく。そんな中、名字の繋がりから今となってしまえば同じ名字の赤の他人と「案外似てますね」という結論になったり、家紋から家の繋がりを確かめようとしてその祖先が平家?源氏?みたいな発見もあり、非常にパーソナルなんだけど、なぜか共感できる話が小気味よく進むので気持ち良い。きっと自分が同じような調査をしても同じような展開になりそうだからかな?

さて、たまたまこの本を読んでいた頃、僕は広島に帰省していたのですが、良いタイミングだと思い、30年以上ぶりに祖父に祖父の祖父、つまり高祖父の話をしてみました。そうすると祖父はタンスの奥から数年前になくなった祖母の戸籍を見せてくれました。祖母の両親の名前が記録として明らかになった瞬間を高橋さんと同じように感じた瞬間です。ちょっぴり嬉しい。高橋さんもきっとこういう嬉しさを感じたんだろうなぁ。

2010年の戸籍法改正により、全員が除籍された戸籍は150年間保存することが決定してるんだそうな。戸籍によると祖母の父は昭和40年ぐらいまで生きていたらしい。そうすると祖父の父も同じぐらいまで生きていたんでしょう。そすると祖父の祖父は戦後ぐらいまでは生きていたんじゃないかな。とするとまだ戸籍は残っている可能性が高い!何が得られるわけでもないんだけど、自分のルーツに少しでも近づくために、こういう旅も悪くないよなって思いました。祖父の父のお墓、海外に住んでたこともあって何年も墓参りしてないなぁ、今年のお盆は立ち寄ってみることにしよう。

リファクタリングウェットウェア

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今日は朝から読書。とりあえずインプットしてみる(なんて単純なんだ...)。以前、研究者仲間から紹介された「リファクタリング・ウェットウェア(Andy Hunt著)」を読み始めてみました。半分くらいしか読み進められなかったけど、自分が普段考えていたことを文章で表わされた感じで、非常に納得がいく内容です。まぁ、ライフハック本の類に分類されることが多いらしいけど、第1章の「初心者から達人への道」は、学生にとって勉強することがどういうことなのか、できる人とできない人の差がどこにあるのかを考えるいいきっかけにはなりそう。ドレイファスモデルは参考になるなぁ。自分の研究室を持つことがあれば、一回目の授業で学生に話してあげたい内容かも。第2章、第3章は、まぁ、人間の脳の説明といわゆるライフハック的なことが書いてありました。いくつか自分もやっていることが載ってましたよ。やってない人には参考になるかもしれません。やってみると効果があるかもしれないね。

あと、ここまで読んで「人間は変化を嫌い安定を望むが、脳は安定を嫌い変化を望む。」という言葉が思い浮かんだ。最近、自分が変化を嫌い安定志向であることに気がつかされるとともに、脳がどんどん鈍っていっている感覚に陥る。そうじゃいかんと思いつつも、短い人生、仕事よりも大切なことがあるとも思う。

って、まだここまでしか読んでいませんが、早く続きを読みたいものです。

体重【75.2】kg
体脂肪率【23】%

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